令和7年2月定例会(第10号) 本文 2025-03-24

◯三十七番(黒田太郎君)
 私は、あいち民主県議団を代表し、ただいま議題となっております第一号議案令和七年度愛知県一般会計予算に対して、賛成の立場から討論を行ってまいります。
 現在、我が国では、食料品や日用品、エネルギー価格など、あらゆる物価が高止まりし、県民の生活に負担を与えています。特に、令和の米騒動など、猛暑や記録的な集中豪雨などの異常気象は、農作物の価格高騰に直結しており、異常気象と密接に関係があると言われている地球温暖化への対策は喫緊の課題として、脱炭素の取組などへの投資も必要となっております。加えて、労働人口の減少による人手不足や、それに起因する労務単価の上昇は、中小・小規模事業者の経営を圧迫しています。
 こうした中、日本一のモノづくり県であり、日本を引っ張っていくにふさわしいプロジェクトが続々と進められている本県の当初予算の編成に当たり、私たちあいち民主県議団は、重点事業等調査研究会や政策調査会、政策推進議員連盟などの調査研究活動を通じて、令和七年度施策及び当初予算に対する提言を取りまとめ、昨年八月に大村知事に提出するとともに、本年一月にも早期に対応を講じる必要がある項目などについて再度要望をさせていただきました。
 この場では、その中から特に重点的に取り組むべきと考える五項目に絞り、今回提案されております当初予算案に対する評価を述べさせていただきます。
 まずは、防災・減災対策を踏まえたハード、ソフト両面からの社会資本整備の推進についてであります。
 昨年、元日に大きな地震が襲った能登半島は、九月には大変な豪雨に見舞われました。道路や水道をはじめとしたインフラにも甚大な被害が発生し、いまだ土砂崩れなどで通行止めとなった道路や復旧できない水道管もあると伺います。
 南海トラフでは、マグニチュード八から九クラスの地震が今後三十年以内に八〇%程度の確率で起こると言われておりますし、局地的な豪雨による災害も日本各地で毎年のように発生しています。こうした自然災害に備えるためには、平時から防災、減災に向けてハード、ソフト両面から取り組むことが大変重要であります。
 今回の予算案を見ますと、道路、河川、海岸、砂防、港湾、下水道など各種インフラの整備や既存施設の長寿命化や耐震化、広域防災活動拠点整備など、ハード面の機能の維持、強化に係る予算のほか、市町村職員を対象とした避難所運営研修やペット同行避難対策推進マニュアル作成といったソフト面においても能登半島地震等の教訓を生かした予算が計上され、評価できるものとなっております。
 国は今月末にも南海トラフ地震に係る被害想定の見直しを公表する予定ですが、豪雨災害などその他の災害も含めて、県民の財産、生命を守り、被害を最小限に抑えて重要な社会機能を維持するためには、国土の強靱化に向けた切れ目ない投資が必要です。特に、大規模災害時に全国からの応援人員や物資等を円滑に受け入れ、迅速かつ的確に供給する役割を持つ基幹的広域防災拠点は、本県における救援活動の中心地となる非常に重要な施設ですので、整備スケジュールにこれ以上の遅れが出ないよう、着実に事業を進めていただくことを要望いたします。
 二番目は、Aichi─Startup戦略及び革新事業創造戦略の推進についてであります。
 昨年十月、国内最大のスタートアップ支援拠点STATION Aiがグランドオープンし、二月にはテックガラジャパンが初開催され、多岐にわたるプログラムが展開されて、国内外から多くの方に参加いただいたと聞いております。大変すばらしいスタートを切ることができましたので、来年度以降はスタートアップやイノベーションの創造といった成果に着実に結びつけていく取組が大変重要となります。
 今回の予算案では、民間のノウハウを最大限活用するBTコンセッション方式でのSTATION Aiの運営や海外のスタートアップ支援拠点との連携推進など、Aichi─Startup戦略に基づく取組を強力に推進するとともに、多様な主体からイノベーション創出に向けた提案を受け付けるプラットフォーム、A─ideaの運営とプロジェクトの具体化に向けた支援を行う予算も盛り込まれ、高く評価できるものとなっております。
 昨年十二月には、東京都と愛知県との連携・協力に関する協定が結ばれました。さらなる愛知の発展に向けて、引き続き、国内外の関係機関との連携、様々な分野における課題解決や事業化支援などに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 三番目は、地球温暖化防止取組推進及び環境・エネルギー分野の産業振興についてであります。
 二〇二四年の夏、本県の熱中症警戒アラート発令日は過去最多の四十六日発令され、熱中症による救急搬送者数は六千三百四十七人となったそうです。まさに地球温暖化による影響が感じられ、対策は待ったなしの状況です。
 本県の二〇二一年の温室効果ガス排出量は、CO2換算で六千九百八十四万トンであり、二〇一三年度比で一五・二%の減少にとどまります。あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇改定版の四六%減という目標達成に向けてまだまだ取組を加速していく必要があります。
 今回の予算案を見てみますと、次世代型のペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた取組支援や、浮体式洋上風力発電の導入に向けた理解促進、機運醸成を図るための予算などが計上されております。また、水素の社会実装に向けて、水素社会実装推進課を設置して県庁の組織体制を強化するとともに、アンモニアも含めたサプライチェーンの構築を推進し、市町村の水素需要の掘り起こしや水素・アンモニア工業炉の活用推進、FCトラック、FCバスへの燃料費補助などの取組が新たに盛り込まれ、大変評価できるものとなっております。
 日本一のモノづくり県であり、環境をテーマにした愛知万博を開催し、環境首都あいちの実現を目指す本県として、産業振興とカーボンニュートラルが両立して実現できるよう、日本のトップランナーとして取組を進められることを要望いたします。
 四番目は、良好な教育環境の整備と教員の働き方改革の推進についてであります。
 昨年九月、愛知県公立学校働き方改革ロードマップが策定され、二〇二六年度末までの三年間で、時間外在校等時間が四十五時間を超える教員の割合をゼロにすることを目標に、少人数学級、小学校の教科担任制、部活動改革の三つの取組を重点化して業務改善を推進するとされました。こうした中、今回の予算案には、本県独自の中学校第一学年の三十五人学級を引き続き実施するとともに、全ての県立中学校、高校へのデジタル採点システムの導入、市町村が実施する休日の部活動の地域移行を進めるための実証事業、語学、情報通信技術、キャリア教育などの専門的な支援員等を配置するための予算が盛り込まれるなど、評価できるものとなっております。
 いよいよ、この四月には中高一貫教育の第一次導入校と夜間中学である、とよはし中学校が開校いたします。第二次導入校も含めて、それぞれの学校には、教育体制はもちろん、施設、設備、備品も含め万全の体制で開校していただき、その学校の特色を生かした教育に取り組んでいただくよう要望します。
 最後に、第二十回アジア競技大会、第五回アジアパラ競技大会の推進についてであります。
 アジア最大のスポーツの祭典でありますアジア・アジアパラ競技大会の開催まで、あと一年半ほどとなりました。アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するためには、より快適な滞在環境、スムーズな会場へのアクセス、万全の警備体制などアスリート中心の視点が非常に重要です。
 今回の予算案には、本年七月にグランドオープンするIGアリーナをはじめとする競技会場の整備はもちろんのこと、関連施設や周辺道路も含めたバリアフリー化などの整備、地域の活性化やさらなるスポーツ文化の普及につながる開催機運醸成のための取組や、市町村と連携したアジア各国、地域との交流を見据えたフレンドシップ事業などの予算が盛り込まれ、評価できるものとなっております。
 なお、近年の資材価格の高騰や人手不足などの影響から本大会に係る費用が膨らんでおりますので、必要な経費はきちんと盛り込みつつも、しっかりと内容を精査して経費削減に努めていただくことを要望いたします。
 以上、当初予算案のうち、我が団の提言から特に重要な五項目を取り上げ、その評価を述べてまいりましたが、県民、地域の声を基に知事に提言いたしましたその他の要望項目につきましても、予算措置の状況から評価できるものと考えております。
 第一号議案に対する討論の締めくくりに当たり、中小企業、小規模事業者に対するさらなる伴走支援について一言申し上げます。
 日本一のモノづくり県である本県ですが、産業基盤を支えているのは、県内企業の九九%以上を占める中小・小規模事業者です。中小・小規模事業者は、物価高騰、人手不足、カーボンニュートラルなどの課題に直面する中、事業を継続していくために、新規の技術開発や需要開拓を行い、経営基盤の強化に取り組まなければなりません。昨年の春闘では、三十三年ぶりの五%台の賃上げが実現し、今年の春闘でも、先日の集中回答日では満額を含む高水準の回答が相次いでおり、今後、中小企業にもその流れが波及するかが注視されている一方で、中小・小規模事業者では、経営体力が厳しいことから大企業ほどの賃上げが難しく、人材確保も困難となっております。
 今回の予算案でも、中小・小規模企業の新製品開発や販路拡大支援、価格転嫁促進のためのシンポジウムの開催などが盛り込まれておりますが、中小・小規模事業者が賃上げを実施し、持続的な生活向上が実現できるよう、適切な価格転嫁の推進及び中小・小規模事業者への経営支援、人材確保支援を着実に実施されるよう要望いたします。
 本県の財政運営は、実質収入ベースの一般財源の大幅な減少に加えて、人件費、扶助費等の義務的経費の増加などにより、今回も二千二百九十六億円の収支不足が見込まれる中での予算編成でありました。そうした状況の中においても、必要な予算を適切に計上されたことにつきましては、高く評価させていただくものであります。
 一方、一月二十四日、日本銀行は、政策金利を〇・五%程度に引き上げ、この先の経済・物価情勢次第では、さらなる利上げも検討する考えを明らかにしました。今後も多くのビッグプロジェクトが続く本県でありますので、大村知事におかれましては、今後の金利上昇の可能性も視野に入れ、健全な財政運営にも引き続き取り組まれつつ、公約である日本一元気な愛知の実現に向けて、県民全てが豊かさを実感できる社会の実現を目指して邁進していただくことを我々あいち民主県議団としても大いに期待するところであります。
 以上、第一号議案令和七年度愛知県一般会計予算につきまして、賛成の理由を述べてまいりました。
 皆様方の満場の御賛同をいただきますようお願いし、私の賛成討論とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

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